提供⇒BLEACH メイン⇒日番谷 冬獅郎 イラスト⇒雪谷 マシロ
息が白く凍りつく。 やっぱり街なんかに来なきゃ良かった…。
人の波に流されながら、つくづく思った。
ありがとう*
「隊長〜。行きましょうよ!現世の街に!!」
子供の様にだだをこねた女性が大きな声で、小柄な少年に言った。
「絶対に嫌だ。」
力一杯拒絶する少年。外見とは逆に低く響く声。
「なんでですか〜?」
甘ったるい声で、さっきの女性・松本 乱菊は聞いた。
「行きたければ一人で行けばいいだろう。」
不機嫌な声で、少年・日番谷 冬獅郎は質問とは別のことを答えた。
「答えになってませんよ!隊長!!」
「うるせー。」
「せっかく現世に来たんですから、雛森とかにお土産でも買っていけばいいのに〜…」
日番谷の耳がピクリと動く。
「アイツは現世の物になんか興味ねぇーよ。」
さっきよりは弱い拒絶の声だった。
「そんなことないですよー。死神の女は現世の物に興味津々なんですっ!!」
虚実がある答えを松本は嫌味みたいに言った。それに、まだ続ける。
「あーぁ。現世のお土産欲しいんだよなー、雛森。お土産無いなんて可哀想だなー、雛森。」
もともと刻みこまれていた日番谷の眉間のしわが、更に深く刻みこまれてきた。それに構わず、松本はまだ嫌味を言い続ける。
「雛森可哀想だなー。大好きなシロちゃんからお土産無いなんて…」
ガタッ!!
松本の声をさえぎるように、日番谷は椅子を力強くひいた。松本は少し驚き、日番谷の顔を覗き見た。目付きは更に鋭くなり、眉間のしわもかなり刻みこまれ、銀髪の髪がよりいっそういかつく見える。
日番谷は静かに口を開いた。
「うるせぇー!!!!そんなに言うなら、街でも何処でも行ってやる!!!!」
せーせーした顔の日番谷に、松本は微笑した。それを見た日番谷はやっといつもの冷静さを取り戻した。が、既に遅く、松本は勝利の笑みをこぼしていた。笑みをこぼしたままの松本は、日番谷の前に立ち言う。
「言いましたね!た・い・ちょ・う!!」
悪魔でも降臨したかのよう。日番谷は悪魔を前にして、呆れた一息をついた。
「…分かったよ。行く…。」
笑みをこぼし続ける松本の顔が頭から離れない…。
そして今にいたる。人混みが苦手な日番谷は、案の定 松本の買い物に振り回され、人酔いし休んでいた。
季節は、冬。吐く息は白く凍りつく。
松本とは完全にはぐれた。ため息しか出てこない。ゆっくりと空を見上げる日番谷の目には、まだ降り始めの雪が目に刺さった。雪は嫌いじゃない。が、独りで雪を見ているのは、孤独を感じるからそこまで好きじゃない。
そんなことを考えていると、近くにいつも側で感じる霊圧が、微かに感じられた。それに気付き、後ろを振り向く日番谷。
「なんだ。お前か…。」
少し、安心した表情を見せる日番谷の前には、笑顔の松本がいた。
「私じゃなかったら、他に誰がいるんですか?」
買い物を終えて、沢山の荷物を持つ松本は、いつもと同じく日番谷の言葉に返答する。
「…さぁな。」
日番谷もそっけなく、けれどいつもより優しく答えた。
「買い物、終わりましたよ。」
会話を止めて松本が言った。日番谷は少し松本を見て、
「長ぇーよ…。」
と答える。そうして、日番谷は人混みのなかを歩き始めた。松本は半歩遅れて、日番谷の後ろを歩く。
日番谷の歩くペースは、いつもより遅い。松本はそれを見て、日番谷の肩に手をのせた。
「隊長ー。無理しなくていいですよ。」
松本は日番谷に言った。振り向く日番谷の顔は青ざめていた。息も荒く、今にも倒れそうだった。
「人混みが苦手なら、言ってくれればいいのに…。」
「言ったとしても、無理矢理行かされるだろ…?」
静かに答える日番谷に、松本は苦笑いした。そして、よろめく日番谷の体を腕で止めた。
「おんぶするの…許してくださいね?」
松本は日番谷に聞いた。が、日番谷は意識がなく返事はない。松本は小さい日番谷の体を、そっと自分の背中に抱いた。
日番谷は夢見心地で目覚めた。まだ、ぼんやりしているが、自分が松本の背中にいるのは分かった。
「…松本、下ろせ。」
弱くかすれた声で日番谷は言った。
「嫌ですー。隊長いつも一人で頑張ってるから、たまには甘えたらどうですか?」
日番谷を担いでいる松本が、どこか嫌味っぽく言った。
日番谷は黙りこんでいる。松本は後ろの日番谷を見た。寝息などは立てていないが、寝ているのは松本には分かった。
降り始めだった雪は、一定の早さで舞い落ちる。息は更に白く凍りつく。
いつも『へ』の字にしか曲がらない日番谷の口が、そっと動く。優しい笑みを見せるその口から、言葉が一つこぼれでた。
「……松本、いつもありがとう……。」
end*
ここまで読んでいただき、ありがとうございましたv
雪谷的に初の小説となりますv下手とかナシで・・・(願。
一度、日番谷が主役のを書いてみたくて、それで欲求をまとめたらこんな感じに・・・
ツンデレ度が上手く出ればな〜・・・と思いながら書きましたv
2作目はただ今製作中ですv主役は織姫で行こうかと・・・←
次を楽しまなくて良いので、待っていただければ嬉しいですv
テーマ曲⇒ダンデライオン(BUMP OF CHICKEN)